広島県広島市西区井口にある正順寺は、浄土真宗本願寺派に属する寺院です。この寺院は、江戸初期に紀州から転封した浅野家重臣の森島某の長子権平が、戦国の世に無常を感ぜし時、本願寺十三世法主良如上人の教化を受け、浄土真宗に転宗開山した寺院の流れを汲んでいます。
寺院の歴史は長く、幾星霜、三百七十有余年、井口の地に在って唯一の浄土真宗本願寺派の法統を伝えています。特に、夏目漱石と龍口了信の交流が有名で、漱石の小説「こころ」に登場する人物Kが龍口の経歴をモデルにしたと言われています。
正順寺は、浄土真宗の寺院として、安芸門徒の流れを汲む念仏道場として現在に至っています。寺院には、享保5年の梵鐘が懸かる鐘楼門や、蓮如上人のご染筆名号「龍口山」などの文化的価値の高い遺産が残っています。
広島県広島市西区井口2丁目3-2