大森神社は、東京都大田区大森北に鎮座する歴史ある神社で、旧大森村の美原地区の鎮守として地域に親しまれています。創建は天正年間(1573年〜1592年)と伝えられ、当初は「寄来明神」または「寄来神社」と称されていました。
社伝によれば、かつてこの地が海辺であった頃、海上に金色に輝く像が岸辺に流れ着きました。里人たちは畏れて沖へ流すこと三度に及びましたが、いずれも元の場所に戻ってきたため、神意を感じて社を建てて祀ったのが起源とされています。この由来から「寄来明神」と称されるようになりました。
御祭神は、関東圏では珍しい木の神・久久能智命(くくのちのみこと)で、日本書紀に登場する木の精霊とされています。木々の命を司る神として、自然や木材に関わる人々からの信仰を集めています。
明治元年(1868年)には、神祇伯・白川資訓王より「大森神社」の社号と額面を賜り、昭和7年(1932年)には正式に「大森神社」と改称されました。現在の社殿は、昭和38年(1963年)に再建されたものです。境内には、椿神社と稲荷神社の二つの境内社が並んで祀られており、地域の人々の信仰の場となっています。
例大祭は毎年9月14日・15日に近い土・日曜日に行われ、多くの参拝者で賑わいます。御朱印は社務所にて初穂料300円で授与されており、書き置きでの対応となることもあります。京浜急行「平和島駅」から徒歩約2分とアクセスも良好で、地域の歴史と自然を感じられる神社として、多くの人々に親しまれています。