明善寺は広島県三原市沼田東町納所にある浄土真宗寺院です。この寺院は、1748年に真宗本覚寺より分派した門信徒によって創建されました。寺院の建築は、江戸時代末期に高山の大工副棟梁与四郎によって建てられました。
寺院の特徴として、客間である「でい」が「口のでい」「奥のでい」と3室に分かれており、南側と表側の一部が庭に面して回廊になっていることが挙げられます。また、鐘楼門は茅葺きで、1階に板庇(ひさし)をつけた珍しい建築物です。梵鐘は第二次大戦中に供出されたため、現在のものは戦後に鋳金工芸作家の中村義一氏によって作られたものです。
本堂は文化3年(1806)より欅材の伐採に着手し、20年近い歳月を経た文政10年(1827)に高山の大工水間宇助により、延べ9191人を要して建築されたといわれています。正面(西)及び南、北に縁があり、南側奥が花立部屋、北側は半鐘部屋、東奥側には後堂、中央部は2間で手前に外陣、その奥に一段高くして内陣があります。向拝の龍頭の彫刻などに細工師のすぐれた技術をうかがうことができます。