日本中の埴輪(はにわ)が一堂に集まる九州国立博物館で開催中の「はにわ展」は、繊細でユーモラスな埴輪たちが、その謎を秘めながら私たちに語りかけてきます。このイベントでは、西日本の個性あふれる埴輪も多数展示され、来場者を魅了しています。
埴輪は、古墳時代における葬送の儀式で使用された土製の造形物です。日本では紀元3世紀から約350年間にわたり、古墳の頂部や周囲に設置されました。埴輪は、主に物や動物、人間の形を模して作られ、その役割は殯(もがり)や儀礼の象徴とされています。
九州国立博物館での「はにわ展」では、簡素な円筒形のものから動物や人間の形を模したものまで、多様な埴輪が展示されています。特に、国宝「挂甲の武人」とその兄弟たちの集合は圧巻です。また、九州独特の「石人・石馬」も展示されており、石製の武人像と埴輪の違いを楽しむことができます。
各地域で独自の発展を遂げた埴輪文化が、展示作品からも表れています。関西のスタンダードから離れ、九州や関東で独自性を発展させた埴輪の数々は、その土地ならではの背景と物語を感じさせてくれます。
人の形を模した埴輪には、笑顔や怒りなど、様々な表情が表現されています。特に「踊る埴輪」は、そのとぼけた表情で訪れる現代人を和ませます。また、馬や鹿、犬など、愛らしい動物の埴輪たちも必見です。
特別展「はにわ」は、福岡県太宰府市にある九州国立博物館で2025年2月12日から5月11日まで開催されています。この長期間にわたる開催で、訪れるタイミングによって異なる展示の雰囲気を楽しむことができます。
九州国立博物館へのアクセスは、福岡市内から電車やバスを利用しての訪問が便利です。太宰府市は、福岡市内から特急電車で約30分と、観光ついでに訪れるにも適した立地です。
「はにわ展」は、壮大な古代の物語を感じさせる、日本の歴史文化展示の旅へと誘います。歴史と文化の奥深さを体感しながら、国内外の多様な埴輪芸術を堪能できるこのイベントで、ぜひ古代日本の美に触れてみてください。訪れる際には、時間をゆっくりと取って、埴輪たちと対話する感覚を楽しんでみましょう。
福岡県太宰府市石坂4-7-2