常称寺は、広島県尾道市西久保町にある時宗の寺院です。この寺院は、鎌倉時代後期の正応年間(1288~93年)に時宗二代・真教によって創建されたと伝えられています。寺院の建築物は、時代ごとに異なる様式で建てられており、本堂は室町中期、観音堂は室町後期、鐘撞堂は江戸前期、大門は室町前期の建築とみられます。
この寺院は、全国的に残っている中世時宗寺院の例が少ない中で、室町時代の遺構が3棟も残っており、学術的な価値が高いと評価されています。特に大門は、現存する常称寺の建造物の中で最も古く、当時の寺格の高さを体現しています。
寺院の歴史は、焼失と再建を重ねており、現在では山門と本堂の間に鉄道と国道が走り、山門は民家の中に残されています。2007年には本堂や山門などが国の重要文化財に指定されました。