広島県福山市松永町には「陣屋」と呼ばれる歴史的な施設があります。この陣屋は江戸時代に設置された代官・郡代所の跡で、全国で唯一主要建物が現存しているものです。元禄5年(1692年)に飛騨を支配していた金森氏が江戸幕府の命令で出羽国(現在の山形県と秋田県の一部)に移された際に設置されました。
この陣屋は幕府の直轄領だった時期の飛騨統治の拠点でした。慶応4年(1868年)までの176年間にわたり、江戸幕府は25代の代官・郡代を派遣して飛騨の国を支配しました。明治維新以後も県の事務所として利用され、昭和44年(1969年)に県事務所が移転するまで277年もの間、この地を見守り続けてきました。
陣屋の内部には、代官・郡代とその家族が居住した役宅があります。現在の居間にあたり、代官・郡代の日常生活に使われた部屋で、奥には茶室も設けられています。書院造りの部屋もあり、49畳敷の3部屋続きで高山陣屋内で最大の広さを誇ります。
広島県福山市松永町2丁目7-12