太歳神社は広島県三次市三次町にある神社で、比熊山の裾野に鎮座しています。この神社は大同3年(808年)に創建されたと伝えられており、主祭神は木花佐久夜毘売命です。木花佐久夜毘売命はとても美しい女性で、竹取物語のモデルになったとも言われています。彼女は天照大御神の孫である天津彦彦火瓊々杵尊と結婚し、一夜にして身ごもったことや、火を放った小屋で無事に3人の子を産み落とした伝説から、安産・子授け・火難除けの神様として人々から慕われています。
太歳神社は、江戸時代から伝わる「稲生物怪録(いのうもののけろく)」にも登場し、毎年「三次物怪まつり」が開かれ、百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)で町を歩いて来た妖怪たちが境内の階段を登り参拝していきます。また、宇河弘樹の漫画「朝霧の巫女」の舞台にもなっており、アーティストへの影響を与える風格ある神社です。
この神社には、通称「輪くぐりさん」と呼ばれる珍しい行事があります。輪くぐりさんとは、「輪くぐり祭」という神事のことで、毎年6月30日に開催され、約400年続いているといわれています。この祭りは、茅の輪をくぐることで、疫病や災いを免れると信じられています。太歳神社は様々な時代の中でも人々から大切に信仰されてきました。