広島県広島市中区上八丁堀にある広島拘置所には、広島在住の画家入野忠芳さんが描いた壁画があります。この壁画は、1989年に広島城の築城400年の記念事業の一環として制作されました。壁画は、江戸時代の広島城下を描いた絵巻「江山一覧図」を原案に、入野さんがアレンジを加えて描きました。
壁画は、拘置所の北側と東側の壁を中心に描かれており、縦約2メートル、横約200メートルの巨大な作品です。絵の中には、幕末に一度だけ行われた祭り「砂持加勢」の様子が描かれており、キツネやツルなどの動物に扮した踊り手が川底の掃除を応援する様子が描写されています。他にも竜やコイ、鯨などが登場します。
現在、広島拘置所の建て替えに伴って外壁が撤去されることになりましたが、入野さんの遺族や知人らでつくる「広島拘置所壁画保存の会」が、壁画を撮影しデジタル保存する方針を提案しています。また、壁画を陶板に焼き付け、広島城近くで展示することも計画されています。
広島県広島市中区上八丁堀2-6